研究会は、伴侶動物の美容に関する研究、並びに科学的知識および技術の普及発達と、学術上の地位の確立を図り、併せて会員相互の向上・発展を求めることを目的としています。 

動物看護皮膚科美容研究会の内容 

動物看護皮膚科美容研究会で講義と実習を提供する目的とは

当研究会は、皮膚に専門性のある動物看護師およびトリマーへ教育と技術を身に付けることを目的としています。

皮膚科診療は、家庭で飼い主様が治療を担当することを基盤にして治療方針を組み立てる必要があります。どのように病院から管理する方針や技術を有効に伝えて理解してもらうのか、その上で家庭での管理が難しい理由を抽出し、看護過程でどのように家庭への補助(病院への通院を要する援助)を提案するか、という皮膚科の役割を理解する必要があります。

犬アトピー性皮膚炎は、症状が多彩で、診断が難しい

当研究会は、皮膚に専門性のある動物看護師およびトリマーへ教育と技術を身に付けることを目的としています。

動物の皮膚病の管理の主体となる重要疾患は、犬アトピー性皮膚炎(以下、犬ADと略す)です。犬ADは多彩な皮膚症状があることから、一つの疾患として認識しづらいことと、各部位と症状に応じた管理(≒治療)が必要となる疾患です。実態として、診断そのものよりも、治療管理の方が難しい疾患です。犬ADの動物がセカンドオピニオンのために大学病院や皮膚科専門獣医師に紹介される理由は、治療の失宜を検討することが主な診察内容なのです。

医学の世界でも、ギリシャ時代から記載があるのに関わらす、疾患の概念として確立するには1970年代まで待たなければならなかったのです。なぜなら、アレルギーの特性から多彩な症状が現れやすいためです。アレルギーマーチという用語を聞いたことがあるでしょうか。湿疹や喘息・鼻炎が関与して、子供が成長に従って、つぎつぎと罹患するので「マーチ=行進する」という英単語が当て嵌められています。また、食事もアレルゲンのひとつとして影響を与えて、生活にも影響を与えるのは有名でしょう。花粉症ならば眼結膜や鼻粘膜を刺激し、食物アレルギーであれば消化器症状(下痢が多い)に、そして皮膚に症状を出すといったように多彩であることでどのような病気なのか分かりにくくしてきました。

終わりのない治療は、自宅が主体で、飼主は疑問や不安が多い

治療に終わりがないことも治療を難しくする理由となります。病気に名前が付けば診断になりますが、同時に治療法もわかるものです。次に考えるのはいつ病気が治癒するのかが気になるものです。しかし、犬アトピー性皮膚炎は人のアトピー性皮膚炎と同様に治癒することは滅多にない慢性疾患です。糖尿病や高血圧、高脂血症などに代表される。その原因は生活習慣病とおなじく、一度発症すれば一生付き合っていく必要があります。

治療として、例えば、獣医師がシャンプーを週2回行うことを指示すれば、飼い主様は、週2回のタイミングで、一生の間、シャンプーする時間を持たなければなりません。仕事を持っている方であれば、仕事が終わったあとか、休暇中に時間を空ける必要があります。飼い主様自身が病気になれば、家人か病院で替わりにシャンプーをしてもらう必要があるかもしれません。そのことを考えれば、「いったいこのカルマから解放されるのはいつだろうか」、と飼い主は不安感でいっぱいになるかもしれません。

継続的にケアをするためには、飼い主様に明確な目標を持ってもらうことです。図2のよう、犬アトピー性皮膚炎は季節性のある疾患です。1年間の過ごし方(治療方針)がわかれば、例えば、診療する担当者から一般に冬場は症状が軽いので治療ステップを省略できることを説明できます。逆に暑い季節には普段よりケアが多くなることを知らせられます。1年間という単位で目標を立てて頂ければ、家庭を取り巻く生活と疾患を持った動物との過ごし方に目途をつけることができるはずです。

治療に関しては、獣医学にも長い歴史があり、現時点でも研究も行われていますので、その時代ごとに標準治療というべき治療方針が確立しているのが一般的です。

それぞれの飼主にも経験や費やせる労力の違いがあり、設備や協力者も多彩

さらに、疾患を持つ動物の症状や自宅での環境に合わせた治療に焦点を当てると、家庭でできる治療と、病院の通院でする治療を飼い主様に提案して、個別の治療プランを検討していきます。プランとしては、具体的にどのような治療にどのような技術が必要か、飼い主様に理解して貰う必要があります。加えて、家庭での動物を取り巻く環境がその治療を継続してできるのか、病院側のスタッフが理解して治療法を選択する必要があります。

飼主の疑問を解き、生活に合わせた治療プランの提供は、高い専門性が必要


病院のスタッフに過程で皮膚病の管理に必要な内容と飼い主様の力量に合わせた説明をするには、図のような基礎知識と生活の指導を行うための技術とコミュニケーションが必要なことを表しています。

知識や生活の指導は、病院が用意した紙の資料やPDFを読んでも、飼い主様はなかなか理解できません。加えて、病院は、医療知識の上に一般常識を考慮して、具体的に治療プランの提案が必要です。家庭で蚤(ノミ)が発生し、燻蒸剤の利用を考えると、飼い主様が薬剤を手に入れるための

研究会は、幅広い知識と技術だけでなく、コミュニケーションまで及ぶ

皮膚科専門の動物看護師を当研究会は提案している背景には、必要な基礎知識と飼い主様とのコミュニケーション、治療技術の習得だけでなく、具体的な治療法を教える技術も必要になるのです。飼い主様に治療を担って貰うためには、飼い主様の人となりや、動物との生活環境を知った上で、治療プランを選択する。そして、飼主が見落としや、間違いやすい事柄を把握し、必要があれば教育する技術を習得する。その技術を当研究会では提供しております。